そんな私が、大学生になって、おもむろに誰かを好きになってしまうなんて⋯⋯。
 心の何処かでは、誰のことも好きにならないようにしていた気もするが、恋というのは不可抗力で落ちてしまうものというのは、どうやら本当らしい。

 生まれて初めて、こんな自分にいつも優しくしてくれて、ちゃんと女の子扱いしてくれた彼のことを、いとも簡単に好きになってしまったのだ。
 そんな自分のことを、あまりにチョロくて情けないとも思った。
 恋をしたからといって、こんなにも不細工な自分が、好きな人の前で女の子らしく振る舞うとか、必死でお洒落をして気を引こうとすることは、恥ずかしすぎてできやしない。

 よく、恋とは素敵なものだと人は言うけれど、本当にそうだろうか。
 恋で破滅する人だって、たくさん居るはずなのに。