私は、幼い頃にはもう、自分がいわゆる“美少女”とか“可愛い”と呼ばれる女の子とは違う扱いを周りから受け、決して、彼女らとは同じようには生きられないことに気付いていた。
 見た目が悪ければ、他の何かでカバーするしかない。
 しかし、勉強もスポーツもダメならば、料理も裁縫も苦手で、家庭的なタイプにもなれず、芸術の才能もない私⋯⋯。

 そんな自分にとって、常に道化者であることだけが、周りとうまく付き合い、嫌われることもない、唯一の処世術。
 あらゆる苦手なことを、敢えて必要以上に失敗してみせて、いつも周りを笑わせてきた。
 ふざけすぎて、教師や親に叱られるのと引き換えに、みんなの笑いをとる。
 それしか術がないのだから、仕方ないだろう。
「あんたって、ホントにバカだねー!」
 みんなにそう言われて笑われるのは、私にしてみれば唯一の褒め言葉。