今日だって、ずっとその人のことをしゃべっている。ももやたまやなるちゃんはすごい応援している。それが当たり前だろう。寂しいとかは思わないのだろうか?やっぱりあたしがみんなと違うから、こんなこと考えちゃうのだろうか。
なーちゃんは、こないだのなるちゃんの試合で、ニャンとかいう人のことが気になってしまったらしい。サッカーをやってるのがカッコいいんだとか何とか。
なーちゃんが話すことは大抵記憶に刻まれているのだが、その人のことは全く入ってこない。あたしもその時試合を見ていたけど、なるちゃんしか見てなくて全くニャンなんて見ていなかった。そんななーちゃんを好きにさせる人って、どんな人かと思ったけど、試合がある前日に、ゆる食堂でにらんでいなくなった人だった。あんな人がなーちゃんのハートを掴むなんて。そんな人を好きになるなーちゃんもなーちゃんだけど、ニャンとかいうやつの方がムカつく。今目の前には、まだそんなやつのことをしゃべっているなーちゃんがいる。大好きな親友なのに、今のなーちゃんはキラいだ。ようやく話が止まると、なーちゃんはそっとあたしの方を見た。
「ねえ、リンルン。リンルンは、ニャンさんのことどう思う?」
風と一緒に、なーちゃんの声があたった。
「どう思うって?ムカつくよ。」
唇をとんがらせて、わざとムカつくという言葉は大きな声で言った。今は2人きりだから、本当のことを思いっきり言える。
「あんなやつとあたしのなーちゃんがくっつくとか、許さない!」
なーちゃんではなく、空を見上げて言った。しばらく沈黙が続いて、なーちゃんもあたしの方を見なかった。
「…あんなやつじゃないよ。」
ようやくなーちゃんが口を開いた。