「ふう。」

あたしは着ぐるみの頭を取って、息をついた。

「さすがゆるオリパーク、今日も忙しかったなあ…」

独り言のつもりだったけど、いつのまにか側にいた葉月空に聞かれていたらしく、空が言った。

「そうだね。特に休みはやばい。」

あたしは思わず笑ってしまった。

「やばいって。…さ、帰ろ。」

空が無言で頷いた。

あたしは下の着ぐるみも脱ぎ、着ぐるみを手に抱いた。

空と並んで歩いた。

「ねえ、空?」

「ん?」

「このバイト、楽しい?」

「もちろん。誘ってくれた美玲に感謝してるよ。」

あたしは嬉しくなり、頬をやや紅潮させながらつぶやくように言った。

「…ありがとう。」

空の笑い声が聞こえた。「なんでありがとう?」

あたしも笑った。「空が気に入ってくれたから。」

着ぐるみをしまってあった倉庫に入れると、あたしたちは来た道を戻った。

遊園地を出ると、すぐにあたしの家に着く。

「じゃあね、空。」

「うん。またね、美玲。」

空がいなくなるのを見届けてから、家に入った。