クラスに着くと私と千秋は同じクラスだけど席が離れているから別々に分かれる。

それから自分の席に荷物を置くと、三奈の元へ向かう。


「おはよう!」

「おはよう、ってまた新しいリップ買ったの?」

「彼氏に貰ったから付けてみた!可愛いでしょ!」


そんなやりとりをすると三奈は苦笑いしている。


「それ賄賂じゃないの?」

「え?」

「物であんたの気持ち掴んどこうって」


昨日会った時に何気なくもらったプレゼントだったけどそんな意味あるのかな?

確かに何も無い日のプレゼントはかなり違和感だった。

だけどたまたま見つけて似合うと思って買ってくれたのかもしれないし。

まだ賄賂とかそんな風に判断するには材料が足りない。


「てかいつまで好きでもない人を受け入れていくつもり?」

「うーん、本気で愛してくれる人が出てくるまで?」

「そんなん、あんた山下くんがいるじゃん。あんなイケメンで朱莉にだけ特に優しくて、幼馴染みって逆に付き合わないのが不思議すぎるんだけど。」

「うーん」


確かに千秋は完璧だけど、私だけに優しいとか言うけどそんな事無いし、基本的に千秋は誰にでも優しい。

だから好かれてるし、人気がある。

千秋の方をふと見ると、友人に話し掛けられて話している。

その時の笑った顔が可愛いとか思ったりするけど、それ以上の感情は無い。


「(それに付き合うなら、もっと早くそう言う事起きてると思うんだよな)」


そう思いながら、ふと顔を逸らして三奈の方を向いた。

千秋が私をどう思ってるのかなんて、考えた事あまりなかった気がするけど、きっと恋愛的には見ていない。