あれから一年半程の時を過ごして、私達は社会人に突入した。

交際は約2年ほどになって、土日休みは2人して同じだからその時を見計らって会っている。

会社は違えど距離も近いし、平日も少しなら会えるみたいな生活が続いていた。

それに、平日しか楽しめないお楽しみがあって…。


「…スーツ格好良過ぎる。」


千秋の職場はスーツで出勤する職場で、平日の帰り道に待ち合わせをするとこの姿が拝めてしまう。


「毎度会う度それ言ってくれんの嬉しいけど、照れる。」


そう言いながら照れている様子もなくそう言ってくるから、私の子の反応にも徐々に慣れてきているんだと思う。

大学を卒業してからも特に大きな喧嘩も無く、お互いに順調だった。

就職は相変わらず都内でして、お互いに実家は離れているので頼れるのは相変わらず2人の状況。

それでもやりたい仕事はこっちの方が多かったし、お互いに離れることも無く暮らせているのだから何も文句が無い。


「就職して仕事終わりにこうして会ってるなんて変な感じだよね。」

「大学の丸2年間は朱莉の振られた話を聞く為に集まってたようなもんだから」

「あーもうやめて、思い出したくもない。」


そう言って耳を両手で塞ぐ。

そんな黒歴史の様な時代もあった。

愛に飢えていたわけでもないのに手当たり次第に好きになってほしいからと付き合っていた暗黒時代だ。

今思えば何て馬鹿な事をと思う。

それでも呆れながらも私を好きで居てくれた千秋は本当神様の様な存在なのでは。