冬休みの帰省した時、元担任と連絡を取って高校の時の校舎を千秋と訪れていた。

卒業してから一度も顔を出していないので、行ってみたくなって特別に許可を貰って千秋と冬休み誰も居ない校舎に訪れた。

廊下は部活動をしている学生の為か暖房が入っていてほんの少し暖かさを感じるけど、教室の方は冷えている。

高校3年、一緒のクラスだったのにほとんど関わりは無くて席も近くなんてなったことは無い。


「懐かしいね、雰囲気は全然違うけど」

「担任も人も違えばそりゃそうじゃん。」


窓際に近寄っていくと、いつも窓際の後ろの方の席で、千秋が友人達と楽しそうに笑って話していたのを思い出す。

幼馴染みだからってクラスでは結構目立っていたから教室内では極力関わらない様にしていた。

それでも登校は毎日一緒だったけど。


「…付き合った今なら千秋と隣の席で学生生活過ごしてみたかったな。」


そう言いながら千秋が良く座っていた席に着いて、窓の外を眺める。

広いグラウンドがあって、春になれば桜が咲くし、春が終わればそのまま新緑に色付いて、秋になれば紅葉。

今のこの時期は、枯れ木になってしまってまた桜色に色付く日を待って何度も四季を繰り返す。

この席だとずっとその様子を眺めてられる。

高校生の時は何も考えず過ごしていたのに、見逃しちゃいけなかったなと今ならわかる。


「今からでも出来るじゃん。」


千秋がそう言うと私の隣の席に座って、こちらに向く。

何だか照れくさくなるけど、私も向かい合って千秋の方を見る。