段々と紅葉の時期も終えて徐々に気温も下がって冷えてきた。

まだコートを着る程の寒さでも無くて、服装での体温調整に悩む時期だ。

こういう時毎度何を着ればいいかわからない。

部屋でファッション雑誌を見ながら、今日は珍しく千秋が私の部屋で課題をしている。

バイトが無い日は出来るだけ一緒に居ようとしてくれているのか、予定が無い時はこうしてどちらかの家で過ごす事も多い。

そろそろ付き合って長くなってきたしお揃いの物が欲しいななんて思ったりもしたけど、お揃いを嫌がる相手も居るから、中々この手の話題に踏み出せない。

千秋は、嫌そうなタイプに見えないけど、どうなんだろう。


「朱莉、視線気が散る。」

「いやいや、お気にせず。格好良い彼氏を端から見てるだけなので。」


こういう時中々構って貰えなくて、同じ空間に居るのにほんの少し寂しかったりもする。

千秋は少しだけ苦笑いするも、キーボードを叩いている指が止まることは無い。

中々終わらない千秋に後ろからくっついて抱き着くと、そんな私を気にすることも無く変わらず課題をこなしている。

寂しいけど、くっつくのがダメとは言われていない。

日常茶飯事で気にもしてもらえないけど。

こういう時大体構ってをしているのは私の方だ。


「まだ？」

「あともう少し。いい子だからもう少し待って」

「待つ」


千秋は私の扱い方を本当によくわかっている。

くっついているだけでも千秋の匂いがダイレクトに届いて、かなり安心する。