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「朱莉、起きろって」
「…ち、あき?」
「いつまで寝てんの。学校遅れる。」
そう言ってすっぴんで何も可愛くない私と至近距離で見つめ合っている千秋。
目の前に急に顔の良い男が現れて目をぱちぱちと瞬きさせるもその姿は消えずにそこに居る。
山下 千秋。
幼稚園の時からの幼馴染みで、家はすぐ近くに住んでいる。
それで学校を一緒に行くんだけど、こうして時々寝坊して千秋は部屋まで起こしに来てくれる。
こうしてすっぴんをドアップで見せられるのなんて千秋しか居ない。
「え、今何分。」
「7時半。8時には出ないと遅れる。」
そう言いながら私の身体をグイッと引っ張って置いてある櫛を取って私の髪を解いている。
寝起きすぐに頭が回らなくて動かない私の代わりにこうして甘やかしてお世話してくれる千秋。
彼氏でもないのにお姫様に仕える執事の様にお世話をしてくれている千秋と、甘やかされている私、河村 朱莉。
千秋とは恋愛なんて事になったことは無い。
それなのに彼氏なの?って定期的に聞かれてしまう。
千秋は彼氏ではないけど私が心から素を出せる大事な友達だ。
「朱莉、早く準備してきて。髪はある程度整ったから。」
「ありがとう、千秋!顔洗ってくる!」
そう言ってベッドから起き上がって、慌てて洗面所に向かう。
たまに整った状態で千秋をお出迎え出来る事もあるんだけど大抵、私のこの可愛くもない姿を見せつけてしまっている気がする。