飲み会の翌日、スマホを見ると通知がいくつか並んで入っていて、その中に千秋の連絡が入っていた。


«昨日の記憶ちゃんとあるよね?»


なんて連絡。

私が酔っ払って忘れているとでも思っていたんだろうか。

覚えているに決まっている。

昨日千秋とお付き合いが始まった事。


«忘れてないよ。おはよう»


なんて返事をすると、すぐさま既読が付いて電話が掛かってくる。

電話なんて珍しい。

そう思いながら「はーい、おはよう。ダーリン」なんて語尾にハートが付きそうな勢いで朝の挨拶を交わす。


『おはよう、って言っても、帰ってから寝られなかった。』


そんな風に笑う千秋に思わずきゅんっと胸が鳴ってしまう。

寝られなかったって、何で?私と付き合ったから!?

なんて期待してしまう様な回答。

付き合った次の日、電話を掛けてくれる彼氏なんて居たかな。

連絡は取り合っていたけど。


「電話、どうしたの?」

『…彼女の寝起きの声聞きたかった、じゃダメ?』

「だ、めじゃないけど。」


寝起きなんてとてもじゃないけど可愛い声じゃない。

それを聞きたいだなんて、千秋は変わっている。


「変な千秋。もっと声に調子が入った可愛い声の時に電話してよ。」

『何で、どんな時も可愛いよ。寝起きも、酒焼けした声も』

「…一言余計すぎる。」


お酒焼けなんてしていないし。

思わぬ言葉に照れさせられてしまった。

可愛いなんて言われると思っていなかったから。

千秋って彼女になった子にはべたべたに甘やかしちゃうんだ。

初めての彼女だから?

知らない千秋に凄く興味が湧く。