千秋と私は相変わらず変わらない関係性を築いていた。

ほんの少し変わった事と言えば、毎週末決まって夕食を一緒に取るようになった。

そのきっかけは本当に小さな事だった。

大学の帰り道、千秋と並んでたまたま歩いていた時だった。


「また別れたの?」

「またって言うのやめて。もう耳が痛い。」


そう言いながら両手で耳を抑える。

何度目かの別れた、振られた報告にもう傷付きすらしない。

理由は決まって「朱莉、俺の事好きじゃないよね」がお決まり。

それからは浮気されたなり、好きな人できたなり、冷めたなり。

何をもって好きじゃないよねと言われているのか分からない。

向こうだって、私を好きなんて思ってない。

見た目がタイプだったから近付いてきているだけなの、私だって分かってる。

それを狙って見た目に気を遣ってるからショックとか何も無いけど、浮気とかの原因を私のせいにされるのが納得いかない。

別れてからその子と付き合えばいいのに。

そんなことを考えながら「あ~、だめだ!千秋ご飯行こう!」と腕を組んでそのまま歩き出す。


「は!?」


驚く千秋をそのまま引っ張って近くのファミレスに入った。

いつも無駄におしゃれなお店とか連れていかれて逆に疲れてしまう。

私にはこういう気軽に来れる場所が良い。


「…でも私が悪いんだな~」

「何が?」

「私のイメージがおしゃれなお店じゃないととかってさせちゃったんだなって。」


そう言って飲み物を意味も無くストローでかき混ぜていると、千秋はそれを黙って聞きながら見ていた。

千秋は私を女の子とか関係無く1人の友達として見てくれるしこの関係性が楽。

だから千秋と居るこの時間を大事にしている。


「そんなん朱莉も相手もお互いにあんまり知らないからじゃん。朱莉が悪いとかじゃないでしょ。」

「う~ん、そうかもね。背伸びしてそのイメージを付けちゃってるからもうみんなそうとしか見ないし、聞いて幻滅したくないのもありそ。」

「…じゃあ、週に1回こうやって抜く時間作れば?」

「え?」


千秋のよく分からない言葉に聞き返すと、千秋の顔がほんの少し赤い気がした。

気のせい?