『思うんだけど、あんたらそれで何で付き合わないの?』

「うーん、付き合うのはお互いに何となく違うんじゃない?」


お風呂上がりに雑誌を見ながら三奈と電話をしていた。

千秋と付き合うなんて考えたことも無いし、千秋もそうだと思う。

根拠はないけどそれだけの事でなんとなく恋愛対象からは外れていた。

今まで家族同然で過ごしてきていた千秋だし、彼氏ってなるとまた色々違う気がする。


『でも結局いつかは山下くんとの距離は、山下くんの彼女が出来たら、続かないんじゃない?今の距離感が良いとかあんたのエゴでしょ。』

「…それはそうなんだけど。」


確かにいつか千秋に彼女が出来ちゃったら…。

反射的に嫌かもって思っちゃった。

一生1人で居てくれたらいいのにとは言えないけど、私はその間も彼氏とか作ってるわけだし。

でも千秋との距離が空くのは嫌…!


「三奈…、友情と恋愛の両立ってそんな厳しい?」

『方法はあるよ』

「え?」

『山下くんを彼氏にする事』


三奈のとんでもない発言に思わず咳き込んだ。

どうして千秋を彼氏にするなんて事になるのか。


「な、何で?」

『そりゃそうでしょ。きっと山下くんなら大事にしてくれるし、あんたの愛されたいは満たしてくれるだろうし、友情もきっとそのまま受け止めてくれるんじゃない?』

「言ってる事めちゃくちゃだよ。」


私の言葉に対して朗らかに笑う三奈の声。

千秋と恋愛なんて考えた事無いし、今は全く想像が付かない事だらけで考えられない。