〇悠人の部屋、昼過ぎ
悠人「水飲むか?」
紗代「え!?あ、うん。」

悠人の声で目を開けた紗代
悠人は立ち上がってキッチンへ向かう

紗代(なんだびっくりした……いちいち色気を出さないでよ……)

悠人が冷蔵庫からペットボトルを取り出して紗代のところへ持ってくる
ペットボトルを開けてから紗代に手渡す悠人

紗代(いつも開けてくれるんだよね……)

小学生の時からペットボトルを飲むときは開けてから渡してくれたことを思い出す

◯(回想)第一話の回想シーンと同じ景色、小学生時代、公園のベンチ、夕方
・ベンチに並んで座る小学生時代の悠人と紗代
・二人の身長は同じくらい
・ペットボトルを開けてから紗代に渡す悠人
・「ありがとう、悠人」とにっこり笑って受け取る紗代
・遊んだ後に一緒にお茶飲んでるほのぼのした風景
(回想終了)

◯悠人の部屋、昼過ぎ
紗代はペットボトルの水を飲む
悠人はさっきと同じようにベッドの淵に背中を預けて床に座る

水を飲んだ紗代は悠人の部屋を眺める
部屋の中は少し散らかっている
部屋の中には漫画やゲーム機など悠人の物しかない

紗代(家族で住んでるわけじゃなさそうだよね)

紗代「ここに1人で住んでるの?」
悠人「あぁ。いつでも来ていいぞ。親いねーからさ。」
紗代(それってどういう意味!?)

紗代の顔が赤くなりタオルと氷嚢を顔に当てて顔を隠す
悠人は横目でちらりと紗代を見る
紗代は恥ずかしさを隠すために話題を変える

紗代「猫の世話をするから学校を休んでるの?」
悠人「ちげーよ。」

悠人は動揺する
紗代はヤンキーも動揺するんだと驚く

紗代「学校休んで何してるの?」
悠人「働いてんだよ。」
紗代「働いてるの!?」

紗代(てっきり遊んでるのかと思ってた。)

悠人「色々あんだよ。」

悠人は立ち上がってキッチンへ向かう
紗代は俯いて、母が言葉を濁していたことを思い出す

悠人は冷蔵庫を開けて中を見ている
悠人が働いていると聞いた紗代は、中学時代によくモデルになったらとか、芸能界に入ったらと言っていたことを思い出す

◯(回想)中学時代の下校、土手、夕方
・土手を歩く2人、菜の花が咲いている
・悠人は学ラン、紗代は制服

紗代「悠人はモデルになったら?芸能界とかも行けると思うよ~」
悠人「ははは。何言ってんだよ。俺は……」

(回想終了)

◯悠人の部屋、夕方
紗代「悠人、どうせならモデルとかやったら?」

乱暴に冷蔵庫の扉を閉まる音がする
紗代はビクッとする
部屋の空気が張り詰める

悠人「……お前もそういうこと言うのかよ。」

悠人の声が冷たい
悠人は部屋から出て行ってしまう
玄関の扉が勢いよく閉まり、紗代はビクッとする

部屋が静まり返る
紗代は俯く

紗代(怒らせちゃった……)
  (何度も言ったことあるのに……)

中学時代のことは自分しか覚えていないんだと思って悲しくなる