◯アパートの一室、悠人の部屋、昼
ベッドで横になる紗代
おでこにタオルがある
目を開けると、天井のシンプルな照明が見えてくる
視界がぼんやりして体がだるい、熱がある

悠人「大丈夫か?」

声がして驚いて顔を向ける紗代
悠人がキッチンから紗代の方へ歩いてくる

紗代「ひぃっ!」
悠人「変な声出すな。ほらよ。」

悠人は紗代のおでこに氷嚢を乗せる
ビビりながらもそのまま受け取る

悠人「体調が悪いなら休め。」

悠人は紗代の布団を掛け直す
紗代は金髪ヤンキーが悠人だと確信していないため困惑する

紗代「あの……ここは……どこなんですか?」

悠人は一瞬驚いた顔をして、その後吹き出す
くすくす笑いからそのうち声を出して大笑いする
笑いすぎて涙が出てしまい、悠人は涙を指で拭う

悠人「お前さ、本当にわかんねーの?ははは。」

頭の中に中学時代の悠人の笑顔が浮かび、目の前にいる悠人とリンクする
紗代は悠人の顔を見て泣きそうになる

【私は泣きそうになった。】

悠人は声を出して笑い続けている

【金髪なのも、声が低いのも、妙に色気があるのも違うけど、その屈託のない笑顔を私はよく知っていた。】