◯学校の保健室、午前中
保健室の椅子に座る紗代
少し熱がありぼーっとしている
保健室の先生(先生2)が体温計を持って立っている

先生2「土田さん、熱があるから早退した方がいいわ。お家の方に電話してくるわね。」
紗代「先生、待ってください!」

保健室の先生がドアへ向かうのを呼び止める紗代
保健室の先生が振り返る

紗代「うちの親、仕事なんで、自分で帰ります。」
先生2「大丈夫なの?」
紗代「まだ歩けます。待ってても来てもらえないんで。」

おどけたように笑う紗代
保健室の先生は心配そうな顔をする

保健の先生からカバンを受け取る
→先生に帰る準備してもらった

先生2「気をつけてね。」
紗代「ありがとうございました。」

保健室を出て、学校を出る
熱っぽいため俯き加減、少し頭痛がしており、頭を押さえる

◯通学路、早退のため下校、午前中
紗代「朝はなんともなかったのにな……」

人通りのある商店街をとぼとぼ歩く紗代
商店街を抜けて住宅街に入っていく

しばらく歩いていくと、遠くにしゃがんでいる悠人が見える
悠人の姿を目に留めてギクっとする紗代
足が止まる

紗代(神谷悠人だ……!!)

悠人の周りに取り巻きのヤンキーがいないか見回すが、それらしい人はいない

悠人は街路樹の近くにしゃがんでいる
街路樹の後ろに何かいるっぽい
悠人は紗代に気づいていない

紗代(こんなところで何してるんだろう……)

紗代は静かにゆっくり悠人に近づいていく
街路樹の影に子猫がいるのが見える
悠人は学校では見たこともないような笑顔で子猫を撫でていた
紗代に気づいた悠人が紗代の方を向く
→紗代にはこの動作がスローモーションに見える

紗代の視界が真っ暗になる

【私は見てはいけないものを見てしまったのかもしれない。】