◯学校の中(廊下)、朝
紗代「怖かった……」

紗代は自分の教室へ向かって歩いている
走ったために少しだけ息が上がっている

〇教室、朝
教室ではほとんどの生徒が着席している
教室の後ろに空席を2席見つける(後ろの扉の近く)
確認して席に座り、隣の席(空席)を見る

紗代(お休み?かな……)

教室の後ろの扉がガラガラと言う音を立てて勢いよく開く
金髪の男子高校生(悠人)がヤンキーらしく横柄な態度で入ってくる
白目になる紗代①

紗代(嘘でしょぉぉぉ!同じクラスってこと!?)

悠人はズカズカと教室に入ってきて、迷わず紗代の隣の席(空席)へ向かう
カバンをバンッと乱雑に置き、椅子にどかりと座る悠人にビビる紗代
白目になる紗代②

紗代(まじかぁぁぁぁ!)

紗代はぐったりとして机に突っ伏してしまう
紗代が放心している間に担任の先生が教室に入ってくるが、紗代は気づいていない
先生が教壇に立ち出席確認を開始、生徒の名前を読み上げていく

先生「神谷悠人。」
悠人「……はい。」
紗代「え?」

紗代は驚いて顔を上げる
隣を向くと悠人と目が合ってしまう

紗代(ひぃぃぃぃ!)

紗代は慌てて目を逸らす、頭の中が混乱する
悠人は気にしていない

紗代(どういうこと!?神谷悠人って呼ばれて返事したよね!?この人が悠人ってこと!?いや、そんなことない。絶対違う!ぜっっったい違う!)
紗代(私が探してる神谷悠人はこんな金髪のヤンキーじゃないんだから!)

頭が混乱する紗代、先生の声が聞こえていない
先生の出席確認は止まることなく進む

先生「土田紗代。」
紗代(違う!絶対違う!悠人じゃない!)
先生「土田?」
紗代(私の悠人はどこに行ったのよ!)
先生「……」

悠人「呼ばれてんぞ。」
紗代「へ?」

悠人はあごで先生を見ろと伝える
紗代が先生の方に顔を向けると先生は険しい表情

紗代「はいっ!すみません!」

教室の中に笑いが起きる
先生は出席確認を続行する

【私の高校生活は前途多難なようだ。】

悠人の顔が少しだけ緩む
紗代は気づいておらず、やってしまったと頭を抱える