◯悠人の部屋、夜
紗代「ありがとう、悠人。助かったよ。」

悠人の部屋を出る紗代
アパートの階段を降りる
悠人が紗代の後ろを歩く

アパートの敷地の外に出ると、紗代は驚いて周囲を見回す
→知ってる場所だ!

悠人「お前ん家、そっち。」

悠人は紗代の家の方角を指差す
紗代は何も言えなくなる
恥ずかしさと悔しさが入り混じった表情

悠人「いつでも待ってるぞ。襲いに来てくれていいからな。」
紗代「何言ってんのよ!」

悠人をどつく紗代
悠人は大袈裟に痛がるふりをする
→悠人は中学時代のやり取りを思い出している

◯悠人の部屋から紗代の家に続く道、夜
紗代はドシンドシンと足音がするような歩き方をして家に帰る
紗代を見守る悠人が背後に見えている

◯紗代の家の前、夜
悠人のアパートから歩くと、すぐ家に着いてしまう
振り返ると悠人が笑いながら手を振っている

紗代「なんなのよ、もうっ!」

紗代は自宅の敷地に入っていく
家の明かりがついている→母が帰宅済み
紗代は玄関を勢いよく開けて家の中に入る

紗代「ただいまー!」

母のお帰りなさいの声が聞こえてくる

【悠人の部屋は、かつて悠人の家が建っていた場所に新しく建てられたあのアパートだった。】

◯悠人のアパート前、夜
悠人はため息をついて、振っていた手をおろす
紗代の家がある方向を見つめる

悠人「こっちの気も知らないで。どーしてくれんだよ、ったく……」

悠人はガシガシと頭を掻く
ポケットに手を突っ込んで急いで部屋に戻って行く