西洋の街並みのような場所に私立リフレイン学園は建っている。

歴史のある街で貴族が大勢住んでいる。

そんな街で暮らす一人の少女、セイラ・キューネスはリフレイン学園の生徒だった。

彼女は貴族であり、学生でもある。成績は普通、運動神経も普通、全てが普通な貴族には珍しい少女だった。

そんなセイラはある日、学校裏にある噴水に訪れていた。

薔薇の香りと歴史ある建造物の良さに惹かれ、セイラとセイラの友、スカーレットは時よりここで時間を過ごすようになっていた。

スカーレットが薔薇を観察しながら言った。

「貴方もそろそろ婚約したら?高校生だからって油断しているだろうけど、この国の女性は普通だったら15で嫁に行くのよ」

スカーレットには婚約者がいる。成績も良く、社交辞令はマスターしている優秀なお嬢様だった。私とは比べようにならないくらい...

「いいわ。私は結婚しないでひとりでやっていくもの」

「あら、そう?きっと寂しくなるわよ」

スカーレットの言葉には納得できる。でも、私なんか誰も好いてくれるわけないし、私が誰かに好かれたい訳でもない。

私が考え込んでいると、スカーレットはそれに気づいたのか私の肩にそっと手を置いた。

「セイラはたくさんの男に裏切られてきたから、きっと世の中の男性が怖いんでしょ」

「当たり前じゃない!きっと世の中の男性なんてみんな一緒よ。飽きたら捨てる、私は男なんていらない」

セイラは怒りと悲しみを感じていた。

かつてセイラを苦しめたのは過去の恋愛だった。裏切られて捨てられて、彼女はそれがとてもトラウマだった。

スカーレットは不満そうな顔をして口を開いた。

「うーん、私の婚約者はそんなことないけどな。ちょっと変人だけど、怒ったり怒鳴ったりしないわ。素敵な方よ...」

スカーレットの肌は桃色に染まっていた。
スカーレットはそれだけ婚約者に惚れているのだろう。幸せなんだ...

私は覚悟を決めた。

「スカーレット。私はまた、きっと恋をする。でも、それは残酷な運命へと変わる。だから、私がもし間違っていたら、貴方が私に教えてくれないかしら」

スカーレットはセイラの言葉が意外だったのか目を見開いた。しかし、すぐに目を薄めて微笑んだ。

「ええ、承知しました。さあ、授業が始まるわ、教室に戻りましょう」

「ええ」

今はいい、恋なんてしなくて