薫くんの告白を断ってしまった私は、どんな顔をして会えばいいのかわからなかった。でも翌朝、薫くんは何も変わらなかった。

「紗里奈、気にしなくていいからね。俺が言いたかっただけだから。」
「うん……」

気まずいのは私だけみたいだ。

放課後、いつものように薫くんと一緒に学校を出た。朝は穏やかだったのに、風が強くて寒い。もう少し厚着をしてくればよかったと思った。

「今日は寒いね。ちょっと待ってて。飲み物買ってくるよ。」

薫くんはそう言ってすぐ近くにある自動販売機へ向かった。

その瞬間、視界が真っ暗になった。



大和は息を切らして立ち止まった。紗里奈と薫の後を追っていたら、紗里奈にちょっかいをかけていた5組の奴らが襲いかかってきた。素手ならば負ける相手ではないが、奴らは武器を持っていた。

「あいつら……」

ようやく追っ手を巻いた大和は、息を整えて顔を上げた。目に飛び込んできたのは、道に落ちている烈蘭高校のカバンだった。近づいてみると、カバンにはバッヂがついていた。

「くそっ!」

大和はカバンを握りしめて走り出した。