飛鳥が存外嫉妬深い事に気付いたのは割と直ぐだった。

プライベートで出かける時は例えそれが同性であろうと誰と何処に行くのか報告は義務化されるし、週に一度は必ず一緒にいる時間を作る約束をさせられた。

しかし会社でも隙あらば体に触れてきたり、人気の無いところではキスを強請られたりするのでそこは公私混同はさすがにやめて欲しいと言わねばならぬと思っている。

そういう訳で先日の報告も兼ねて真由菜に会いに来たのだが、もちろんそれも報告済みである。


「予想以上の美形にビックリしたんだけど」


開口一番、真由菜に先日の代金を支払う前にそう言われ思わずキュッと口を結んだ。


「アスカなんて言うから女性だと思ってたらまさかの超イケメンがきて、私ら全員声出なくなったわ」
「名前教えてなかったっけ」
「聞いてないよ。しかも聞いてた話と全然違うし」
「え?」
「だってその人他に好きな人居るって聞いてたのに、めっちゃ紫の事好きなの伝わってくるんだもん。男2人見て明らかに嫌そうにしてたし」
「…うそ…」
「佐倉くん達に聞いてみなよ。絶対同じ事言うから」