週末、紫は先日届いたメッセージに従いある店へと足を運んでいた。
真由菜からきた連絡を端的に言えば土曜日の19時指定の店へと来いとの事で、それというのが完全に彼女の事情に付き合わされる事となる用件だった。
紫は時間より少し早くその場へ向かい、店の前で落ち着かなさそうにしている真由菜へ声をかけた。
「真由菜〜来てあげた、よ!」
言い終わる前に肩を掴まれ揺さぶられ、語尾が裏返ってしまった。
「遅いよ紫もっと早く来てよ!」
「いや開始時間前…」
「佐倉くん達来ちゃってるんだってば!」
「ああそうなの?なら中で一緒に待ってたら良かったのに」
「それが出来ないからアンタ呼んだんでしょーが!」
最早お家芸と化した頬つねりを食らい、痛いよと文句を垂れながら振り払う。
「奏斗と会うのそんなに緊張する?」
「うっさいこっちが何年片想い拗らせてると思ってんのよ」
顔を赤くしながら、いつもより女性らしいワンピースを身に纏った真由菜の格好につくづく面倒くさ可愛い友人だなと思う。
緊張の面持ちの真由菜の前に立ち、容赦なく居酒屋のドアを開け先に通してもらっている男性陣と同じ個室へ案内された。