ーー2年後
予定日を過ぎて無事に元気な女児を出産し、すくすくと健やかに成長した娘が1歳になる頃に新しい仕事も決まって諸々が落ち着いた日菜子は現在、結婚式の準備に追われていた。
写真に残すだけで充分だったが、湊の希望と一人息子の式を楽しみにしていた彼の両親の後押しもあり、親族と親しい友人だけを招いた小さな結婚式をする事にした。
日菜子側は両親と妹の那月、父の弟である叔父とその妻の叔母、そして確か今年成人したばかりの従兄弟の男性が一人。
湊も親族はそれほど多くなく似たようなものだが、川﨑先生とその奥様だけにはどうしても出席して欲しいと念押しでお願いをする手紙を出した。
お互い友人も少人数だし職場の人間もいない小さな式なのでそれほど大変では無いのだが、何せ子育てとの並行なのでそれなりに忙しい。
だというのに、今しがたもうひとつ頭痛の種が増えてしまった。