結婚指輪と婚約指輪の購入に、日菜子の実家への挨拶、職場への報告ーーまた例年の年度末の仕事の忙しさも加わり、怒涛のような日々が過ぎて気付けば4月も半ば入ってしまっていた。
忙しさと日菜子の悪阻が重かったこともあり3月末にあった湊の誕生日も満足に祝えず、4月の中旬になってようやくプレゼントを買いに外に出られるようになった。
要らないから休めと言う湊をどうしてもと説き伏せ、妥協案としてお揃いで使えるものが欲しいと言われ互いにキーケースを新調する事にし、2人の休日の重なる翌日の日曜日に買い物に出かける事にした。
「日菜、結婚式はどうしたい?」
「結婚式か…」
あとは顔合わせと入籍を残すのみで両者共に日程も決めているのでひとまずは落ち着き、ずっと先延ばしにしてきた話題を振られて日菜子は悩む。
日菜子とて普通の女なのだからそれなりにウェディングドレスへの憧れはあった。
けれどせっかくならば1番綺麗な状態で着てそれを残しておきたい。