「わかりました。
では部屋の外で待っておりますので、
何かあったら私にお声かけください」
そういった侍女の声も震えていた。
彼女は理子に
一番懐かれていた侍女だからであろう。
「理子…
どうして、何も言ってくれないんだ?
またいつものように、
吉宗様!大好きですよっ?
って言ってくれよ」
そんな吉宗の儚い夢は夜の闇の中へ消え、
次の日からはまたいつも通りの吉宗に戻っていた。
そんな吉宗は側室をとったものの、
生涯継室は作らなかったと言う。
(「吉宗さま〜っ!
次はもっとも〜っと大好きって伝えますね?
また会う日まで」)



