あぁ、もし今あなたさまが生きていらしたら…


私が思い浮かべるのはいつも
亡くなってしまった婚約者・家継様のこと…


彼と私は私が生まれてすぐに婚約したが、

彼は私が3歳の頃に
わずか7歳にして亡くなられてしまった。


「吉子様!

もうすぐで家重様の輿入れなので、
そろそろ江戸へ向かう準備をしてくださいな。

増子様…御台様も吉子様と会いたいと
おっしゃっているそうなので、
行かないというわけにはいきません」


「わかりました…準備いたします」


もちろん
御台様と顔合わせしたくないわけではない。