あの日、私はただただ怖かったんだと思う。


真夜中にお母さんに急に起こされて、お父さんの車に乗せられた。


いつもお家にいたお手伝いの彩花さんも、お父さんと仲のいい黒田さんもその日だけいなくて、


6歳だった私にも、何かあったんだと気づいたけど、聞いてはいけないような気がして、何も言わなかった。


いつもは安全第一で運転してくれるお父さんも、警察に捕まるんじゃないかっていうくらいすごいスピードで海の近くを走ってて、


「ママ、どうしたの?なんでこんなにしずかなの?りのこわいよぉ…」


私の隣に座っていたお母さんに小声で聞いた途端、車の後ろの方から爆音が聞こえたんだ。


「…っ!!」


3人が息を呑む間も無く、次の爆発が起きる。


「…まずいっ!真希、梨乃(りの)を頼む!」