｢ごめん、別れてくれない？｣



半年ほど付き合った彼に、突然呼び出されて言われたことはこれだけだった。


桜田(さくらだ) 莉亜(りあ)。高校2年生。


付き合った人数3人、振られた回数3回。


今の今まで付き合っていた秋野(あきの)くんとは去年の冬告白されて付き合い始めた。


私なりに嫌われないように、あきれられないようにやってきたつもりだった。


デートのときはちゃんとおしゃれしてメイクして行ったし女の子らしい仕草だって意識してた。


なのにこんなに呆気なくフラれちゃうなんて。


放課後、空き教室に呼び出されたと思えばこの状況。


何がダメだったんだろう。


｢うん、、、分かった。｣


必死に涙をこらえて口に出すと


｢じゃーな。｣


と秋野くんはあっさりと背を向け歩き始める。


｢ま、待って！｣


｢何？｣


｢私のどこがダメだった？｣


最後にこれだけ聞いておきたくてなけなしの勇気を出して聞いてみた。


｢顔も性格も悪くないんだけどな、なんか物足りないんだよなー。｣


なにそれ。なんか物足りないって何。


そんなことを考え出したら止まらなくなっちゃいそうだった。


｢そっか。呼び止めてごめんね。｣


もうどうすればいいか分からなくなって泣きそうになりながらとりあえず困ったような笑顔を彼に向けた。