私が嬉しそうにするからこそ、アクアも毎日挨拶は欠かさないのだろう。

心の中でありがとうと呟いて、部屋着のラフな格好から外用のワンピースに着替える。

ベッドのサイドテーブルに置いたメガネも装着して、朝ご飯を食べるために食堂がある1階に降りていく。

まだ早い時間だからか人はチラホラいるものの席は空いていた。

その中で窓際の席を選んで座る。

パンとスープ、サラダがセットになった軽食を注文して、運ばれてきたご飯をよく噛んでから飲み込む。

温かいスープが体に染みわたる。

幼い頃は温かい食事なんて食べられなかったので、これも大事な、小さな幸せだと私は知っている。

朝食を食べ終わると、一度荷物を取りに部屋に戻ってから宿を出て王城を目指す。