「ここ東京ですか?」

「ああそうやけど。あれ、姉ちゃんひょっとして記憶喪失(苦笑)とか」

記憶…
そうかも知れない。元々物覚えの良い方では無いとは思っていた。いや思っていた!?
思っていた私はどこへ?

「あいたたた」



「ん? どしたん?」

「いや、頭が痛いです。」

「そっか。家はどこ?」

「今東京だとすると、八王子が近いです。」

「わーった。おじさん、いつもより遠回りしちゃう。
そんで、八王子インターじゃダメかな」

「あっ大丈夫と思います。タクシー拾うか、またヒッチハイク。」

「所持金ナンボ?」

「ええっと一万円」