傷痕に咲く 〜パティシエ総長と歪な少女〜



「ごめ…」

「黙って!!!」


瑠衣の口から謝罪の言葉が出そうになったのを慌てて遮る。


「謝らないで、お願い。謝らなきゃいけないのは私の方だから…」


そう、頭では分かっているのだ。

ここで瑠衣に謝られてしまっては、私はもう戻れない。

私のこの言動を正当化していいとは思っていない。

しかし心が限界だった。


「……って」

「え?」

「出ていって!!!」


叫ぶと、瑠衣が反射的に立ち上がった。

私も立ち上がって瑠衣の肩をトンと押す。


「これ以上あなたに酷い言葉をかけたくない。お願い、出ていって。」


瑠衣が一歩二歩と扉の方へ後ずさる。

その度に私も一定の距離を保って瑠衣を追いやった。


「なあ、本当に、一度竜司さんと話してみてくれ。」

「………」

「俺、心配だよ、お前のことが。本当に。」


苦しげな瑠衣の表情を見ていられなかった。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」


瑠衣は静かに扉を開けて廊下に出た。

パタンと閉じた扉に背中を預けて座り込む。

涙が溢れて止まらなかった。

竜司くんの言葉が呪いのように心臓に絡みついている。

ズキズキズキズキ、心が痛む。

最悪だ、本当に最悪だ。

今私は友達みんなを振り回している。

そんなことがあっていいのだろうか。

私の都合で何人の人が傷付けばいいのだろうか。