玲は厳しい部活のバスケ部所属だ。
私たちは帰宅部だから、玲と帰ることは無い。
いつも結衣、優菜、私、彩芽と一緒に帰る。
その時間は、玲の事を忘れることができた。
彩芽が帰ったあと、結衣がそんな話を急にし始めた。
「betterの新曲聴いてみなよーハマるよ」
結衣の熱心なススメに乗るつもりはない。
丁重に断って、他の話題を振る。
「じゃーねー」
電車派とバス派、徒歩派が分かれるのでここで別れる。
私は徒歩派で、毎回本屋さんに寄って帰る。
今日も、早水という毎回寄る本屋に寄った。
『新作!ネッコグミ、待望のエッセイ!』
ネッコグミとは初めて聞く名前だが、興味本位で本を手に取る。
静かな本屋で立ち読みする。
立ち読みは日常茶飯事のなので、何の罪悪感も感じない。
静かな本屋に、ページを捲る音だけが静かに響いた。


