「ゆずきの耳たぶ、グミみたい!すき!」

「怒るぞ!」

それからずっとカミカミされてたけど、

正直くすぐったくて、
ヌメヌメして、不快だったけど……

だけどなんか……、ホッとして。

よく分かんない感情のまま、病院から家までの間、女をおぶって歩いた。

最初は「噛むな」って怒ってたけどやめないからもう途中からは何も言わなかった。

家に着いた頃にはカミカミしていた耳たぶをチュパチュパしだしていた。

昨夜も寝る間際そうやって自分の指をチュパチュパしながら眠りについていた事を思い出す。

多分眠くなるとやる癖だろう。

…ほんっと、おこちゃまだな。

起きると多分やっかいだから慎重に女をベッドに下ろし布団を掛ける。

もうすっかり夢の中らしく…

「ゆ、、ず…きぃー……」

またそんな寝言をぶつくさと言っていた。

はぁー!やっと終わった!

さっさと耳たぶ洗お!全く酷い目にあっ……

「ゆずきぃー」

洗面所に行こうとした所でまた服を引っ張られた。

起きたのかよ……。せっかく寝てたのに。

「…なんだよ」

「私ね!ゆずきから離れないよっ、ゆずき好きだもん、ずーっと、一緒にいてあげる!どこにもいかないよ!」

女はそう言うと、まだ真っ赤な頬を緩めニコッ、と微笑んだ。

「……なんでちょっと上から目線なんだよ」