次に目覚めたとき、玲哉さんの顔がはっきりと見えた。
 カーテンの隙間からくっきりとした明るいラインがのびてきて白い天井を照らしている。
 腕枕ではなかったけど、私たちは同じベッドの中で向かい合っていた。
 玲哉さんはまだ穏やかな寝息を立てている。
 私たち、ずっと寄り添って眠っていたのかな。
 ふと気がつくと、つるりとしていた肌におひげが生えている。
 ――なんだか、かわいい。
 触ってみてもいいかな。
 おそるおそる手をのばしてみるけど、触って起こしちゃったらどうしよう。
 それに、なんだかすごく照れくさい。
 いいかな。
 触ってもいいかな。
 すごく撫でてみたいんだけど……。
「なんだ、どうした?」
 ひぁっ……。
 もう、びっくりした。
 もしかして、寝てるふりしてた?
「起きてたんですか?」
「いや、今目が覚めた。なんかもぞもぞしてたからな」
 良かった。
 触ろうとしてたのは気づかれてないみたい。
 玲哉さんが顎を突き出す。
「撫でたければ撫でていいぞ」
「もう、見てたんじゃないですか」
「目を開けたら手がのびてきたから殴られるのかと思っただけだ」
「じゃあ、遠慮なく」と、触りかけた手をグーにする。
「勘弁してくれ」
 玲哉さんが私の手を取って、顎に当てた。
 ジョリジョリというよりはニョリニョリとした感触で、意外と心地良い。
「おひげって柔らかいんですね」
「どうだろうな、人によるのかもな。あんまり太くないからか?」