王妃主催のお茶会を終えて数日後──。

侯爵邸に居ると居心地が悪く嫌なので、最近では出掛けてばかりいる。
ルーナンド侯爵も人目を気にしているのか邸にいることが増えたからだ。
夫人も夫人会に出席するのを避けているようだ。
やはり王家主催のお茶会でのダミアンの態度が尾を引いているようで、微妙な立ち位置にいるらしい。

両親の態度は以前よりもずっとよそよそしく、腫れ物に触れるようだ。
チェルシーが何をやり出すのか気が気でないらしい。

ダミアンはというと、侯爵達の制止を聞くことなく、いつものようにパーティーに参加したらしいが、その結果は酷いものだったようだ。
令嬢達から避けられて、令息達から鼻で笑われて馬鹿にされたダミアンは挫折を味わい、部屋に閉じこもって「俺は悪くない。俺は関係ない……！完璧なんだ」と呪文のように呟いているそうだ。
両親の話にも耳を傾けることなく、自分の失敗は認められないらしい。

(こんなんで侯爵家、継げるの……？)

それと問題はもう一つ。あのドレスの一件からジェニファーがストーカーのようにチェルシーを監視するようになった。
直接、何かをしてくることはないが、両親とチェルシーの行動に常に目を光らせていて常々、恐怖を感じていた。