ぼんやりと視界に映るのは真っ白な天井だった。
見慣れないはずの景色もこれだけ見ていれば『普通』になっていく。
(アタシ、いつになったらラブちゃんと渋谷で買い物できるんだろう……)
そう思いながら瞬きを繰り返していた。
今日は昨日の疲れが残っていたせいか、かなり体が重たく感じた。
何よりコルセットをしていた腹部が筋肉痛で刺すように痛んだ。
上半身を起こして欠伸をしながら辺りを見回すと、いつもより多い人影に目を凝らす。
徐々にハッキリしてくる視界。
チェルシーは意味の分からない状況に確認するように「は……?」と声を上げた。
「おはようございます。チェルシーお嬢様」
「どうぞ、こちらを召し上がってください!」
知らない声に、まだ夢の中にいるのかもしれないと再び目を擦る。
目の前に嬉しそうに手を合わせている侍女は、ネルとリリナではなかった。
ワゴンの上には意味の分からないくらい豪華な朝食が置いてある。
ぼんやりとする視界で侍女達に視線を戻すと、どこかで見覚えのある顔にチェルシーは顔を顰めた。
「なんでここにいるの……?」
「今日から私達がチェルシーお嬢様のお世話をいたしますから!」
「なんで?」
「その方がチェルシーお嬢様のためになるからです」