「ぜってえ教えねえから」
「ちょっと晴人!一緒に闘おうって言ったじゃん!」

「そんな無謀な作戦聞いて教えられるわけないだろ。カシラを誘惑して落とす、だ?その前に姉ちゃんの命が落とされると思え」

「で、でも警戒心がない人なんでしょ?」

「どこの偽情報だよ。警戒心なく若頭なんてやれるわけねえだろ」


 恭平さん、話が違いますよ……!
 晴人に全否定されて自信がなくなってしまう。

 やっぱり危ないのか……いや、けれど恭平さんが嘘をつくはずがない。


 きっと晴人が心配して言わないのだろう。
 本来なら晴人に日時と場所を聞いて、あらかじめ計画を立てて若頭と接触……と思っていたけれど、作戦その2に変更だ。


「わかった……この方法は諦める」
「つーか姉ちゃんのその気持ちだけで十分だから。抜けられるように、自分でなんとかする」

「そんなの私が嫌なの、力になりたい。また他の方法見つけてみせるからね。とりあえず今日は飲もう!」

「は?急だな」
「いいじゃん、久しぶりにふたりでゆっくりしようよ。晴人、お酒って飲めるの?」

 飲める歳ではあるが、家で飲んでいるところは見たことがない。