晴人とちゃんと話せた翌日から、私たちの闘いはすでに始まっていた。
仕事前と仕事後には如月組について徹底的に調べた。
さすがはヤクザというだけあり、良いことは何も書かれていない。
とはいえ最低限の情報しか得られず、これといって収穫はなかったのだけれど、このまま調べるだけじゃダメだ。
どうにかして如月組に近づかないと。
いっそのこと、乗り込んでしまう?
私にできること。
私だからこそできることは……ふと、自分が武器として闘えそうなものを思い出した。
それはこの“顔”だ。
これまで、顔だけは良いと褒められてきた。
今こそこの顔を利用するべきだ。
そうして考えついたのが、組長色仕掛け大作戦。
組長を私のできる目一杯の方法で誘惑し、落とすのだ。
無謀な作戦かもしれないけれど、変に組に乗り込んで喧嘩を売ったり、晴人とふたりで組の手から逃げるという方法よりは断然現実的な気がする。
「今日も熱心だね」
「……あっ、恭平さん!今日出勤だったんですね」
いつもは仕事帰りに家に直行して調べることが多かったけれど、たまに息抜きでカフェに来ていた。
カフェに来てもやることは変わらないのだけれど、恭平さんに会えたから疲れが一瞬で吹き飛んだ気がする。