「今帰りか?」
「あ、うん」
「元気そうだな」
「そう、だね…」
たったそれだけの会話だけど、懐かしさでなぜか泣けてきた。
「な、なんだよお前…」
「あ、ごめん…」
どうしようか迷ったけれど、今はダイチは他校生だという気楽さもあって、わたしはシュウ君についての気がかりなことを話した。
小学生のとき、ダイチやほかの友達と一緒に遊んだ公園のベンチに座った。
もうけっこう暗くなっているので、遊具で遊んでいる子はいない。
「そうか…」
「わたしが考えすぎかもしれないんだけどさ…」
「いや、そういう直感みたいなのは大事なんじゃないかな」
「直感?」
「ほら、俺、お前にふられたじゃん?」
「こんなとき、そんな話しなくても…」
「聞けって。あのとき「乱暴で短気なのは無理」って言われてショックだったけど、それから俺なりに頑張って、少しは直さなきゃなって思ったんだよ」
わたしは内心「あれで?」と思ったけれど、黙って聞いていた。
「でさ、結構きついこと言うなってちょっと嫌いになりかけたのに、耳が痛いこともちゃんと言ってくれるいいやつだって思えてきて、やっぱ好きになってよかったなって思った」
「そうだったんだ…」
「だから、そんなお前がそんなことで悩んでんのって見てられねえよ」
「うん…」
「もしそれでそいつとダメになったら、いつでもオレんとこに来いよ。あんときの答え、なかったことにしてやっから」
「ダイチったら」
久々に言いたいことを言えて、わたしの気持ちはかなり晴れ晴れとしていた。
こいつやっぱりいいやつだったんだな。
だから「嫌いじゃなかった」んだった。