「私ね、実は未だにコーヒー飲めなくて。子供みたいでしょ?」

思えば、彼女の食の好みすら、何一つ知らずに居た。

「さっき、ヨガが仕事って言ってたけど、どんなことしてるの?」

彼女のことなら、何でも知りたい。

僕の知らなかった人生を教えてほしい。

そんな想いでいっぱいだが、それだと、聞きたいことがあまりに多すぎる。

「ヨガのインストラクターだよ。園田くんは?」

昔みたいに呼び捨てされないことに、なんだか距離を感じてしまう。

「俺は、中学の教師だよ。数学担当で、バスケ部の顧問やってる」