2月になった。

鮮やかな紅い葉っぱ達は、もう枯れてしまった。

今は、4限目の授業が終了して昼休み。

『いくよ…?はい!モトコさんが選んだカードは、クローバーの3だね!』

ツクシくんは、あたしが在籍するクラスの教室へやって来た。

トランプを使ったマジックを披露する為らしい。

あたしの机の上には、カードが並べられている。

マジックに参加中のモトコちゃんはとても楽しそうだ。

『あれれれぇ?なんでわかったのぉ?ツクシくん、すんごいねぇ!』

『ありがとう、モトコさん。どうだった?ミツバちゃん?』

『うん…。すごいね…。』

『…。』

ツクシくんの顔がまともに見れない。

正直、マジックも何が起きたか分からない。

最近のツクシくんは色々と吹っ切れたのか、昔みたいなノリで関わってくる。

休み時間は、頻繁にあたしのクラスにやって来る。

あたしのことを楽しませようとしている。

『…ミツバちゃん!今日もマジックを見てくれてありがとね!明日は、けん玉でスゴ技を見せちゃうよ?お楽しみに!じゃあね!』

そう言ってツクシくんは、自分が在籍するクラスの教室へと戻っていった。

『ミツバちゃん…。』

モトコちゃんが、何か言いたそうな目であたしを見ている。

それでも、優しいモトコちゃんは何も言わない。

鋭いから、何となくは察してはいるのかもしれないけど…。

あたしは結局、ツクシくんを突き放すことができていない。

一応、以前に振っている。

でも、ツクシくんは一言だけ。

『本気じゃないよね?じゃあ、問題ない。今後、僕がやることは気にしないで?』

それからは今日みたいな感じ。

あたしとツクシくんが『2人』だった、一番楽しかった時間を再現しようとしている。

ツクシくん、どうして…?