「………ひどい。」


どうして、こうなってしまったの?

あたしが、告発したから?

あれは、余計なことだったの…?

あんなことしたから、あたしがターゲットになったの?

イジメの?

あたしが、いじめられるなんて…



「ひどいね。大丈夫だった、愛香?」



パフッと頭にタオルが乗せられる。


「ゆ…りか…?」

「見てたよ。なんて事するんだろうね。」


見ていた…?

あたしのこころに、黒い感情が、シミのように現れる。

ずるい。

卑怯者。


「なんで…?」

「え…?」


あたしの気持ちは抑えられなかった。


「ずるいよ!!!ずっとそばにいるって誓ったじゃん!なんで、助けてくれなかったの!卑怯者っ!!!」


あたしのことばは、止まらなかった。


「あたしが、あんなことされてて、黙ってみてたわけ!?最低!ただ傍観していたの?ひどいよ!!」

「あい…か……」


百合香が悲しそうな顔をして、少し離れる。




あたしだって分かっている。





ずっと、八神さんがいじめられているところをただ、傍観していたあたしに、そんなこと言う資格なんてない。

あたしが一番よく知っている。



…だけど、止まらなかった。



本当に卑怯なのはあたしなのに。

あたしは、百合香に当たり散らしているだけなのに。