「コイツは麗華姫を殴った最低なやつです。」

「マジ死ね」

「何考えてんだか」

「ブス」

「ゴミ」

「掃き溜めにでも入っとけ」



八神さんの机には、そんな悪口がびっしり書かれている。

八神さんのペンケースはズタズタに壊されていた。


当の八神さんは、気丈に振る舞っていた。


「亜希、一緒に弁当食べよ?」



いつものように伏見くんの机に向かってくる八神さん。



「何色目使ってんだよ。」

「ビッチが。」



すかさず麗華の取り巻き達に責められる。


「たいして魅力もないくせに、亜希くんに、近寄るんじゃねぇよ!」


柑奈が鬼のような形相で八神さんの頬を叩く。

その勢いで吹っ飛ぶ八神さんの弁当。

中から色とりどりのおかずが飛び出す。


「だっさ〜!」


途端に、笑い声の嵐。

ドンッと聖理奈が八神さんの背中を蹴る。


「早く拾って食べれば?」


取り巻きたちがくすくす笑っている。

みんな、みんな、見てみぬふり。

先生も、気づかぬふり。



麗華には、逆らえない。






——そんなのが、なんで許されるの?