「家族に恵まれているって、どんなにいいことか、分からないだろう?家族にさえ、産みの親にさえ愛されない子たちがいるのにね。」



八神が目をふせて言う。




「バカだよ。イジメをする奴は。本当に、見苦しいよ。もっと、もっと苦しくても、耐え続けるしかない人たちがいるのに、なんでそんなに人を傷つけるのかな?」

「八神…」




八神は悲しそうだった。

あたしは、頭がくらくらしてきていた。

愛香…。



最後に、言いたいことがある。



死にそうになってから、今までやってきたことを後悔して。

でもね、こんなあたしを作った張本人はね…




———麗華姫なんだよ…




あたしに復讐したって、何も変わらないんだ。

麗華がいなくならない限り。

あの、人間の顔をした悪魔を退治しない限り。


愛香、あなたは潰される。



あたしの目から最後の涙がこぼれ落ちる。



今、あたしがこの無力の時間にできること。

それは、後悔すること。

辛い思いをさせてごめんなさい。


お母さん、お父さん、そして聖香。



本当にごめんなさい。


自業自得だ。

あたしが撒いた種だ。

あたしが、こんな無様に最期を迎えるのは、あたしがイジメなんてしたから。



麗華から、離れれば、もっといい人生を送れたのかな…。


ねぇ、愛香?

あんたの復讐、成功するのかな?


愛香が麗華に潰されるのと、愛香が麗華を潰すの。

どちらが先かな…。








愛香………。


ご、ご、ご…



あたしは、声を振り絞る。