海を歩いていた。

 今度は二ヶ月ぶりで、優しい風が頬を撫でていた。

 透明のボトルが落ちている。

 何も考えていなかったけれど、感覚的にそれを拾った。



 コルクの栓を抜くと、どこかで聞いたのと同じ、しゅぱん、となった。



 ひとつ、紙が入っている。






   名前教えて。

   一目惚れした。
   でも君は人間だから、
   人魚とはつるめない。
   私もあの泡みたいに、
   二ヶ月後弾けて世界から散ります。
   さよなら。






 誰なのか、思い出せなかった。

 うっすらと意識があるけれど、残念ながら顔まで鮮明に思い出せない。

 世界から散るって……。

 死ぬのか?