ガリ勉、優等生、みんなが私に向かってかける言葉。

「白崎さん、また本読んでる」

「本当、優等生だよねー」

違います。

休み時間に話す友達がいないので、時間潰してるだけです。

本も全然好きじゃないです。

ページも全然進んでません。

って、心の中ばかりお喋りで、実際は口下手。

白崎のぞみ。高校一年生。

自己紹介が二行で終わるほど、特徴のない人間です。

自分で言ってて悲しい。

キラキラの高校生活なんて程遠い。

でも一人は嫌いじゃないし、意外に満足な生活。でも、周りの目が気になる。


ひとりぼっちでも可哀想って思われない世の中になって欲しいー!!


私は心の中で叫んだ。

話を合わせるだけの友達なんていらないし。

私は、可哀想なんかじゃない!
 
なんて、休み時間に本を読んで「平気です」感を出してしまう自分が何を言ってるんだ。

「白崎さん」

私は、クラスの男の子に自分の名前を呼ばれ慌てて顔を上げた。

「課題のノートを集めてるんだけど、白崎さんある?」

「あ、ある」

いや、私コミュ障すぎる。そう思いながら、私は課題のノートを提出した。

「その本面白い?」
 
ノートを集めながら、その男の子は聞いた。

「えっと・・・」

正直、真面目に読んでないから分からない。どうしよう。

「面白くないの?じゃあ読まなきゃいいのに」

男の子はそう言うと、ノートを集め終わり教室を出て行った。

確かに。私は心の底からそう思った。

「ふふっ」

私は周りに聞こえないよう小さな声で笑った。
 
あーあ、もう取り繕うのやめよう。

なんか馬鹿らしくなって来た。

だって、本読むの嫌いだし、一人も好きだし。
 
 

それから、私は休み時間は好きなことをした。

校内の散歩、好きな音楽を聞く、次の時間の予習。

次第に休み時間が嫌いじゃなくなった。休み時間が楽しみになった。

「白崎さん、本読むのやめたの?」
 
私に、本を読まなきゃいいのにと言ってきた男の子が話しかけてきた。

「うん、好きなことすることにした」

今度は自信満々に言えた。

「そっか」
 
男の子は何故か少し嬉しそうな顔をした。

「貴方のおかげ、ありがとう」
 
私は、頑張って笑顔でお礼を伝えた。

「白崎さんが笑ったの初めてみたわ。ラッキー」
 
男の子はそう言うと、私の席を離れていった。私は顔に熱が集まっていくのを感じた。


格好良くない!?


君のおかげで休み時間は好きになれた。

それで十分だったのに。
 
絶対好きになった。

今日から辛い片思いだけど、何故か明日の学校も楽しみだ。


休み時間は好きなことをするの。

次の休み時間は私から話しかけてもいいですか?