「なんなの、アイツ!」
「ほんっと鬱陶しい。毎日、毎日…」
球技大会から数日。
教室では結衣ちゃんと花菜ちゃんが憤慨していた。
結局、球技大会はバレーもすぐに敗退してしまい、優勝どころか入賞にすら掠ることはなかった。
入賞こそできなかったものの、一致団結して頑張ったクラスの仲はより深まったように思う。
―――時を戻すと、目の前には高瀬くんに話しかける女の子を怪訝そうに見つめる結衣ちゃんと花菜ちゃん。
彼女たちのみならず、ほとんどのクラスメイトの視線を集めているのは球技大会のあの日、高瀬くんを探しに教室にやってきた女の子だった。
「毎回、毎回…。よくあれだけ来れるよね」
「ほんと!高瀬くん、めっちゃ嫌がってるじゃん」
彼女は球技大会の翌日から毎日休み時間になると、ほぼ、ほぼ、毎回彼のもとへとやってきていた。
きっと彼女は私に牽制をかけるべく、こうしてやってくるのだ。
その執念が恐ろしい。
私と彼の間になにもないと分かれば、大人しくその行為をやめてくれるのだろうか。