―――月曜日。


私とあい子はいつも通り通学路を2人、並んで歩いていた。



「…くら…、さくら!」

「!」


耳元で大きく響いたあい子の声に、深く底なしに沈んでいた思考が、は、と急浮上する。


「え…?」


慌ててあい子に向き直ると、訝しげに私を覗き込む瞳とぶつかる。

まるで全てを映し出す水晶玉のように深い黒に、視線を逸らしそうになって耐える。


「え、じゃないよ。どうしたの?ぼーっとして…」

「…な、ん、でもないよ」


土曜日のことなんて言えない。

まさか高瀬くんに告白されたなんて、言えるわけがない。

言えばきっと、またあい子を苦しめてしまう。


平静を装ってなんとか声を絞り出すと、私はそれを裏づけるようにそのまま歩みを進める。

足取りは、重かった……。