(フィオナ、悲しませてごめん……)

体がどこかに沈んでいくような感覚があった。
皮膚の熱さだけがハッキリと残っていた。
恐らく、転生魔法が発動したのだろう。

フィオナの声も、もう聞こえなかった。

(……悔いはない)

最後に見たものは……真っ暗な雲に覆われた空だった。







そんな夢から醒めた目に映るのは、豪華な天井だった。

(………上手く、転生出来たのか?)

取り敢えず記憶は無事、引き継がれているようで一安心である。
首を動かそうとしても体が痛くて動かす事が出来ない。

気になるのは転生先と時間だった。

緻密に練り上げた転生魔法はラーメルトの魔力を時間を掛けて吸い尽くして発動した。
これは魔王ならではの膨大な魔力があってこそだろう。
死ぬことなったが、結果としては成功だといえるだろう。

絶対変えられない道筋は仕方ないにしても、出来る範囲で全ての事をやり遂げた。

しかし身体が動かせない事に不安を感じていた。
荒く呼吸を繰り返しても常に息苦しさを感じる。

転生魔法に気付いた奴が、転生先に細工をしたのかもしれない……そんな考えが頭を過ぎる。
どうしてもフィオナに干渉できないようにしたいのだろうか。

(負けるもんか……!)