ーー留学までの残り日数があと残り11日となった、曇り空のある日。
紗南は下校時間になり帰り支度を終えると、駅まで一緒の菜乃花と教室を出た。
紗南はまだ報道で発表されていないセイのアメリカ留学の話を、菜乃花に打ち明けた。
「彼、アメリカで2年間ダンス留学するらしい。あと1ヶ月後には日本を発つって」
ちなみに、校内ではセイの名前を挙げないというルールを決めていた。
勿論、秘密情報漏洩防止の為。
「それって大スクープじゃん。まだ事務所から正式発表されてないでしょ。もし留学が発表されたら、ニュースになるのは確実だね」
「…そだね」
紗南は自分から言い出したもののしゅんと暗い顔をする。
「じゃあ、紗南も両親に頼んでアメリカについて行っちゃえば?紗南の家は裕福だから、留学したいって言えばすんなり行かせてくれるんじゃない?」
「もー、そんな簡単に頼める話じゃないでしょ」
と言いながらも、昨日全く同じ事を考えてた。
勉強目的としない留学は、自分でもさすがに間違ってると思う。