「それって⋯…。もしかして、俺らが希望していたあのマイケル・リー先生のダンスレッスンの予約が取れたとか?」

「そうなの!昨夜、ようやく先方から連絡があってね。返答に半年待った甲斐があったわ。貴方達はもうすぐアメリカに行けるのよ」



先方からの連絡を待ち望んでいた2人が喜ぶ顔を思い描いていた冴木は、嬉しそうに目を輝かせた。



黒人6人組で結成されていた《TOPS》というR&B歌手の一員だった、マイケル・リー。
既にグループは解散しているが、当時のマイケルはダンスを担当。



現役時代は全米チャートで1位を獲得するなど多大なる功績を残し、美しく奏でる歌と共にダンス面でも全世界の人々を魅了していた。


世間に激震を与えた3年前の引退後、マイケルは一線を退いてダンス講師に転向し、活躍の場を変えた。


そこからスピード出世。
今やダンス業界で五本の指に入るほどトップクラスの有名講師。
レッスンの予約が最も取りづらいと人物とも噂されている。



彼が現役ダンサーとして活躍していた頃から、2人の憧れの人物だった。

だから、マイケルのダンスレッスンの話が浮上していた当初からレッスンを熱望していた。



こうして、半年前までは不鮮明だった留学の話は、時の流れを遡るかのように実現へと向かい始めた。